屋久島は、とても自然のバリエーションの豊かなところです。
その自然の表情を折に触れてお伝えいたします。


  

 

めっきり花の少ない季節になってきましたが、そんな中ぱっと目に飛び込んでくる黄色い花があります。

名前をツワブキといい、葉っぱに光沢があることから「艶葉蕗(ツヤハブキ)」がなまって「ツワブキ」になったと言われています。

根を刻んで乾燥させたものは漢方薬の原料に、また、葉は抗菌作用があるので火傷などに効くそうです。

1月頃まで花を咲かせた後、たんぽぽのような綿毛を付けます。そして、春先になると待ってましたと言わんばかりに出てくる新芽。
待ってましたと言うのは誰かと言うと・・・それを頂く私たち人間です。里のあちらこちらに生えるので、採って茎の部分を煮物にします。

山菜採りの楽しみはまだこの冬を乗り越えてからですが、その楽しみを胸に、今はきれいに咲くツワブキの花をお楽しみください。

'05/12/27update


  

 

初雪です!
今年の秋は紅葉するのも遅く、少し例年より暖かかったような気がします。この冬は暖冬かな?と思っていたのですが・・・。
12月4日夜より、山では初雪になりました。次の日の5日も一日中ずっと降っていたようです。

屋久島は、南の島で雪など降らないと思われがちですが、冬場の山岳地では雪が降ります。寒波がくると、だいたい標高600mから上は雪が積もります。

この雪で、縄文杉ルートも雪道となりました。根雪というわけではありませんが、寒波が続くと縄文杉あたりでも数十センチ積もります。

この時期に入山される方は、天候などをしっかりとチェックして、冬山装備で行きましょう。靴用チェーン等は必須アイテムになります。

景色はきれいなのですが、登山道や道路が凍結したりして危険です。決して無理な行動はしないで下さいね。

'05/12/9update


 ウラジロガシのどんぐり
タンナサワフタギの実

 

秋の木の実

今年はシャクナゲが10年ぶりの当たり年だったように、他の樹々も花をたくさんつけた春・夏でした。
季節は巡って、たくさんの花々は結実し、屋久島では実りの秋になっています。

照葉樹林内では、ドングリが実りの時期を迎えています。
ドングリをつける樹々は、シイ・カシなどですが、ひとえにドングリといっても、様々な種類があります。
スダジイは、殻に囲まれて独特な風体をしています。生で食べてもほのかに甘く、炒れば香ばしくておいしいです。
マテバシイは渋みがなく、炒ったり茹でたりして食べることができます。ウラジロガシは、渋いのでアク抜きをして食べます。
縄文人の主食はこのドングリでした。農業が始まってからも、飢饉のときの救荒食だったのです。

森に暮す動物たちにとっても、今年のドングリの豊作には大万歳なのではないでしょうか。

一方、山頂付近では、様々な樹々が実をつけています。
ヤマボウシの赤い実は、1センチ大のごつごつした独特な実ですが、食べれば甘くおいしいです。その他、ヒメヒサカキの黒紫色の実、タンナサワフタギの藍黒色の実、サルトリイバラの朱赤色の実など、色とりどりで綺麗です。

最近、サルの糞がずいぶん青っぽくなっているのは、上に挙げたような青色系統の実を食べているからなのですね。

ヒトも動物も実りの秋を満喫している屋久島でした。

'05/11/1update


 森のイヤリング/アオツリバナの実

 

このところ、森の中を歩いていると小さな木の実をよく見かけます。
サルに食べられて無惨な姿になっているヤマボウシの実や、真っ赤になったナナカマドの実。紫色のハイノキの実や、サルの糞に入っているつぶつぶの種の正体、ヒサカキの実。
「食欲の秋」というのは、人間にとってだけではないようですね。

その中でも、思わず別名を付けたくなるような、かわいい実を付ける木があります。私が思い浮かべた別名は”森のイヤリング”。正式名称はアオツリバナといいます。6〜7月に、枝に吊られるようにして、その先に濃い紫色の花をつけます。そして今、そのアオツリバナの実が、やはり枝から釣り糸を垂らすようにして付いています。実は、熟すとはじけて開き、その先にオレンジ色の種がくっつきます。日が経つと種は落ち、実の部分だけが残るのですが、まだ目をこらして探しているとオレンジ色の種がくっついた実を見つけることが出来ます。

・・あなたはどんな名前を思い浮かべますか?

'05/10/4update


 

 注)参考画像です。実際の屋久島のタヌキと関係性はありません。

 

屋久島にいる野生のほ乳類動物は、お馴染みのヤクザル、ヤクジカ。それから、コウモリ、イタチ、モグラ、ネズミと、わずか6種類しか生息していません。でも、元来屋久島には生息していないはずのタヌキが、1990年代から目撃されるようになりました。

環境省屋久島自然保護官事務所が行ったアンケート調査によると、1990年代から上屋久町永田地区周辺で目撃され始め、2004年には島内各地で30例以上の目撃報告があったとのことです。昨年の試験捕獲で9頭を捕えて調査したところ、昆虫類を最も多く食べていて、また、永田周辺で捕獲したタヌキからはウミガメのものと思われる卵の殻も見つかりました。そこで、このまま放置しておくと、生態系に大きな影響を与えたり、農業にも被害が出るおそれがあるだろうと、今月21日から捕獲作業を始めました。

捕獲作業には、踏み板式かごわな、餌つり式かごわなをそれぞれ30個と、サル捕獲用のわなが、目撃された場所付近に仕掛けられます。予定では、9月19日までとなっていますが、状況によっては延長もあるとか。

保護官事務所によると、捕獲されたタヌキのDNA分析の結果、島内に持ち込まれた同一家族が繁殖したものと考えられるそうです。誰かの小さな行動が、こうやって大きな問題となってしまうこともあります。しっかりと気を付けていかなければいけませんね。

'05/08/30update


赤米の収穫

 

7月15日、九州南部地方は梅雨明けしました。
いよいよ夏到来です。
さてこの暑い中、稲刈りの作業に行ってきました。
屋久島では、この時期に稲刈りをします。
もうすでに穂がたわわに頭を垂れ、実りの秋、いえ実りの夏でした。
本来稲刈りは秋にするのが本土のほうでは風物詩になっていますが、屋久島では、台風が来る前の7月中には早々稲刈りがおこなわれます。

屋久島は9割以上が山地で、平地は海岸沿いにわずかです。
そのようなわけで、屋久島ではまとまった田んぼをあまり見かけません。
江戸時代には日本全国、年貢はたいてい米などの農作物で納められていましたが、屋久島では、年貢を納めるほどの収穫物を作る土地がないため、平木というヤクスギを加工した板で納められていたほどでした。

屋久島の米栽培は、主に自家用として育てているものがほとんどです。
竹を組んで、稲を天日干ししているところなど、日本の田舎という感じがして、とても良いものです。
この時期、屋久島に来られた方は、本土よりかなり早い「夏」の稲刈り風景に出会うことがあるかもしれません。

'05/07/16update


サツキ
 

縄文杉ルートの前半、トロッコ道の安房川沿いでは、今、サツキが咲き乱れています。
 
サツキは他のツツジ類とともに、古くから園芸的に利用されており、多くの園芸品種が知られています。(その栽培の歴史は鎌倉時代以前までさかのぼるともいわれています。)
1600年代中頃、ツツジの栽培が大ブームとなり、その頃すでにサツキの品種は160種ほどが知られていたそうです。
そんなサツキの「原種」が生育している所はそんなに多くなく、関東地方西部以西の数箇所に分布するのみです。その分布の最南端が屋久島になるのです。
サツキは、陽光がよく当り、且つあまり乾燥しない適湿な所を好むため、ほとんどが渓流沿いに生育しています。とはいえ、この安房川の増水した所を一度でも見るとその立地の険しさは一目瞭然です。
サツキをはじめとする渓流沿いに生きる植物たちは、時に濁流に飲み込まれても流されないように固着能力が高く、水圧を受けにくくするため葉が細い流線型をしているものが多いなどの特徴があるのです。
 
ところで、サツキというと五月の花かと思いがちなのですが、五月といっても陰暦の五月(皐月)になるので、他のツツジ類と比べると少し花期が遅くなり、ちょうど今が花の時期となります。
屋久島の山岳でよく見られるツツジの仲間はヒカゲツツジ、サクラツツジ、ヤクシマミツバツツジ、ヤクシマシャクナゲ等ありますが、これらを見逃してしまった方、大丈夫です。今年のサツキはシャクナゲに負けず劣らず見事です!!
 

'05/06/23update


ヤクシマシャクナゲ
 

今、屋久島の山々でヤクシマシャクナゲが満開です。

もうすでに耳にしている方も多いと思いますが、今年のシャクナゲは、10年ぶりの当たり年だと言われています。ツツジの仲間などの花の当たり年は、前年の夏の気温によって決まるようです。平成6年に、四国では「讃岐砂漠」とも呼ばれる水不足がありました。そして、その暑かった夏の翌年、シャクナゲが一斉開花しました。

去年の夏の平均気温は、平年を1.5℃以上上回ったところが多く、西日本では平成6年に次ぐ第2位の記録となりました。特に7月の暑さが厳しく、東京では39.5℃、甲府では40.4℃が観測されたそうです。屋久島でも、8月になって台風が来るようになるまでは、乾き切った苔を見たものです。

その猛暑があったからこそ、今年の10年ぶりのシャクナゲ開花があるのでしょう。これからシャクナゲを見に来ようと考えている方、環境の変化に即座に対応できる植物の強さを感じながら、登山を楽しんでくださいね。ちなみに、淀川入口〜宮之浦岳間は、6月初旬からが見どころとなりそうです。

'05/05/29update


オオキンケイギク
 

ここ2〜3日前から屋久島の県道沿いでは、目に飛び込んでくるような黄色い花が咲き始めました。名前をオオキンケイギクといいます。漢字にすると「大金鶏菊」。由来は、太陽の花(ヒマワリ)に似て、黄金色にまぶしく映えて花冠を美しく飾り、その形が鶏のトサカに似ているから・・だとか。

オオキンケイギクは、北アメリカ原産の多年草。明治中頃に渡来し、その後、野生化するものが多くなりました。今では日本各地で河川敷等に大きな群落をつくるのが見られます。

鹿児島では、オオキンケイギクのことを別名「特攻花」と呼ぶこともあります。鹿児島の知覧には、太平洋戦争の末期に沖縄線へ向けて特攻隊員が飛び立っていった特攻隊基地があるのですが、特攻隊員が飛び立った時、オオキンケイギクが咲いていたそうなのです。

花を見て思い出すことや、思い描く風景など、人それぞれ様々な思い入れがあることと思います。このシーズンに屋久島に来られた方にとっては、オオキンケイギクが屋久島の思い出のひとつとなるかもしれませんね。

'05/05/10updat
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無人市に並ぶホテイチク
 

四月!!屋久島はタケノコのシーズン到来です。
竹の原産地は、主に南西アジアからヨーロッパにかけてといわれています。
竹といっても様々な竹があります。

竹の代表的なものとして、モウソウチク(孟宗竹)という竹があります。孟宗竹は、中国江南地方の原産で、16世紀に琉球経由で薩摩に移植されたという説があります。
この前家の近くの竹林でもこの孟宗竹のタケノコが立派に生えていました。
この孟宗竹、名前の由来ご存知ですか?
病気の母のためにタケノコを掘って食べさせた孝行息子の孟宗さんにちなんでつけられた名前だそうです。

それから、ホテイチクという細くてあくがないタケノコもちょうど今の時期、島の南部でにょきにょきと顔を出しています。皮をむいてそのままみそ汁や煮付けに使えます。地元の人はコサンダケと呼んでいます。

ダイサンチクという竹も、屋久島では食べられています。あまり市場には出回らない種類のタケノコです。主に中国南部や東南アジア全域に分布し、たけのこの食味が良いということで、屋久島の竹のなかではこのダイサンチクが一番おいしいという人もいます。このタケノコの収穫期は6月から10月で、普通のタケノコとは時期がずれて収穫できます。

屋久島はこのタケノコのように、季節を教えてくれる食材が身近にあります。
私たちのカラダの中にも確実に四季があり、それに即した物を食べることによって、カラダの調子が整ったりします。旬の物に少しずつエネルギーをもらって、日々季節とともに変化していきたいと感じる春の今日この頃でした。

'05/04/26updat
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リュウキュウイチゴの花
 

今年はもう3月中旬になるというのに、屋久島の山にはまだ雪が残っています。積雪や凍結で林道が通行止めになることも、3月に入ってから数回ありました。

でもそんな中、今度こそ本当に春の訪れがやってきたようです。県道を走っていると、道端に白い花が揺れています。

3月頃花を咲かせるオオバライチゴとリュウキュウイチゴです。どちらも白い花で似ているのですが、リュウキュウイチゴの花の方は下向きにつきます。そして、5月頃になると、楽しい果実の季節。どちらも小さないちごをつけます。リュウキュウイチゴは橙黄色、オオバライチゴは赤色に熟します。オオバライチゴには鋭い刺がたくさんついていますが、こちらの方が甘く、リュウキュウイチゴは、香りが高いようです。

車を止めて、ちょっと味見をしてみるのもきっと楽しいでしょう。果実の季節を楽しみにしつつ、まずは小さな春の訪れを楽しんでみて下さい。

'05/03/17updat
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氷に閉ざされたヤマグルマ
 

山では雪が積もったとはいえ、暖かい屋久島。2・3日前の里での最高気温は、なんと19℃でした。
ところが、今日テレビでは「大寒波が来る」との予報。最高気温も10℃だとか。里でこの天気ならば、山では今晩辺り、雪になるかもしれません。

雪が積もると、いつもは緑色で溢れている森も真っ白に衣替えをし、時折、太陽に照らされてきらきら輝きます。そんな冬空の下、寒さに耐えているのは人間だけではありません。
雪の下敷きになったり、氷の中でひっそりと春を待つ植物たち。
そして、食料となる新芽が出るのを待つ動物たち。
ひんやりとした空気の中、こっそり隠れた生き物たちを一緒に探しませんか?
思いがけないものが、顔を出すかもしれませんよ。

'05/01/31updat
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雪化粧した宮之浦岳連山
 

毎年、屋久島では12月中旬になると、山の方では雪がちらつきます。
でも、暖冬が予想されていたこの冬。12月中旬を過ぎても雪が降る気配はありませんでした。
雪が降るのは年が明けてからかと思っていたら・・旧年中(12月29日)ついに降りました。

前岳の頭も白くなり、一気に冬を感じる年明けとなりました。里の方では、日中は暖かいですが、朝晩は5度前後まで冷え込みます。標高が1000m高くなると気温は6度下がるので、山頂では0度以下になります。

この時期に登山される方は、しっかりとした計画と登山届けも忘れずに。冬の屋久島をお楽しみください。

'05/01/05updat
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