’06屋久島自然情報

屋久島は、とても自然のバリエーションの豊かなところです。
その自然の表情を折に触れてお伝えいたします。


ここ数年の月別屋久島自然情報がわかります。
屋久島へお越しの方は、来島月をクリックしてご参考になさってください。

 1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月

屋久島自然情報-リンゴツバキ

 

リンゴツバキ

今の季節、山ではあまり花を見かけないシーズンなのですが、そんな中、ぱっと目立つ赤色で、目を引く花が咲いています。

「リンゴツバキ」といって、ヤブツバキの一変種で、赤くて大きいりんごのような実を付けるところから、この名前が付いています。昨年付けた大きな実が、所々に転がっているのを見かけます(落ちている実は茶色です)。

赤い花びらの中央部には、雄しべに黄色い花粉がたくさん付いています。その雄しべの奥に甘い蜜が詰まっているのですが、猿がその蜜を好んで食べます。これからの季節、猿を見かけた時は口の周りをチェックすると、花粉で黄色くなっているかもしれません。

猿にとっては「花より団子」。あなたにとっては・・・

'06/12/29update


屋久島自然情報-マムシグサ

 

マムシグサ

この名前からどんな草を思い浮かべますか?名前の由来は、「茎の模様が毒へびのマムシの柄に似ているから」というところからきています。5月頃、花を咲かすのですが、「花の形がマムシの鎌首をもたげる姿に似ているから」とも言われます。

サトイモの仲間で、地中に芋(球茎)を付けるのですが、その芋の大きさ、栄養状態によって性転換するという、とても珍しい植物です。花が咲き終わると、次第に実を付け始めるのですが、始めは緑色、そして秋になると上の部分から赤く色づいてきます。

真っ赤な実を付けたマムシグサは、森の中で目を引きます。時々、生長の途中で枯れてしまって、果実の部分が下に垂れ、おじぎをしているような姿のマムシグサも見られます。

一見、おどろおどろしいかんじもしますが、この変わった植物、見かけたらぜひ観察してみてください。

'06/11/21update


屋久島自然情報-ヘツカリンドウ

 

ヘツカリンドウ

屋久島では、ようやく森の中が涼しくなってきた頃、ヘツカリンドウが控えめに咲いています。

このヘツカリンドウ、和名を「辺塚竜胆」といい、鹿児島県の地名「辺塚」の名前に由来します。鹿児島県が分布の北限で、南の島に分布する植物です。

花の黒い紋のような模様は、蜜線といって、そこから甘い蜜がでています。ここに蟻やハエが吸蜜にきます。
だんだん涼しくなってきたこの時期、咲いている花もほとんどなく、昆虫も少ない中での受粉対策ではないかと思っていますが、どうなのでしょう? 

このヘツカリンドウ、屋久島では花が黒紫色で、森の中でもなかなか目立たない存在ですが、屋久島産以外のものは花弁が黄色のものだそうです。

花のピークは過ぎましたが、縄文杉のルートのトロッコ道沿いに咲いています。
一体たくさんの縄文杉登山に行かれる方で、何名がこのヘツカリンドウの存在を確認しているのでしょうか。縄文杉に行かれる方は、途中、ぜひこの控えめな花を探してみて下さい。

'06/10/27update


屋久島自然情報-アマクサギ

 

アマクサギ

もうすぐ10月になり、秋もどんどん深まってきます。花の少ない季節ですが、ところどころで見かける白い花。アマクサギの花です。葉っぱをちぎると、臭気があるのでこんな名前が付いています。かわいい花からはあまり連想できませんが、独特な臭い香りがします。少し癖になりそうな漢方ぽい臭いなのですが、島の人は、若葉をみそ汁の具に使ったりもします。

アマクサギよりも強い香りのする「クサギ」は、日本全国に分布していますが、この屋久島に生えているアマクサギは九州南部以南で見られます。

花は7月頃から咲き始めるので、もうそろそろ終わる時期ですが、花と入れ替わりに藍色の実が見られるようになりました。実の周りには目立つ紅色の萼が付いています。この藍色の実、染め物にするととてもきれいな瑠璃色に染まるそうです。

秋も深まると、次第に果実が見られるようになります。その果実は食べられるか?誰が食べるのか?何に使えるか?・・そんなことを考えながら見るのも、森を歩く楽しみのひとつになりますよ。

'06/9/24update


屋久島自然情報-梅雨明け

 

7/26、九州南部は梅雨明けしました。
去年と比べると屋久島では11日も遅い梅雨明けでした。
今年の梅雨は、梅雨末期を中心に記録的な大雨に見舞われたことなどにより、各地で平年の雨量を大幅に上回りました。

大雨に見舞われた九州南部では、河川のはんらんや土砂崩れが相次ぎ、鹿児島県で4人が死亡、1人が行方不明になりました。
鹿児島、熊本、宮崎の3県で10万人以上に避難指示や勧告が出されたりと、災害のニュースがまだ記憶に新しいですね。

屋久島は、というと九州南部で避難勧告が出されていたにもかからわず、そのころはどんより雲ではあったのですが、幸いにして大きな被害はありませんでした。

そんな大雨の爪痕がまだまだ残る九州エリアですが、ようやく梅雨明け、そして夏休みのシーズン到来です。
屋久島の夏、海もだいぶにぎやかになってきました。
屋久島というと山のイメージですが、黒潮に囲まれた透明度の高い海も大変きれいです。
今の時期、さまざまな熱帯魚が泳ぐ海を覗いてみるのもよいかもしれませんね。

'06/7/28update


屋久島自然情報-ゲットウ 
ゲットウ/月桃

 

ゲットウ

6月に入ってから道路沿いで見かけるようになった、ゲットウ(月桃)の白い花。九州南部に分布するショウガの仲間です。秋になると赤い実を付けるのですが、部屋にちょっと飾るのに良いアイテムです。私は一昨年に採ったゲットウの実をずっと飾っています。

ところで、このゲットウの葉っぱ、抗菌作用があることから沖縄ではこれで餅菓子を包み、それを「ムーチー」と呼びます。旧暦の12月8日には、各家庭でムーチーを作り仏壇に供えたり、軒下に吊して1年の厄払いのまじないとするなど、沖縄の人々にとっては馴染み深いものとなっているようです。

屋久島では、このゲットウの仲間のアオノクマタケラン(ショウガ科)を使って、おにぎりを包んだり、お団子を包んだりします。葉っぱ自体がとても良い香りがするので、お弁当の美味しさも倍増します。

地域によって様々な呼び名があるそうですが、沖縄では「サンニン」、奄美大島では「サネン」などと呼んでいるそうです。その他の地域ではどんな呼び名があるのか?どんな利用法があるのか?身の回りの植物との関わり方を見つめてみるのも面白いです。

屋久島に来たら、ぜひ『葉っぱ弁当』を食べてみてください。

'06/6/26update


屋久島自然情報-ヒカゲツツジ  
切株の上のヒカゲツツジ。

 

ヒカゲツツジ

今、屋久杉の森では、ヒカゲツツジやサクラツツジ、ハイノキ等の花がとても見事に咲いています。普段の森は、緑色や茶色が多いので、今の時期、クリーム色、桃色、白色などがあると、あっ?!と目を奪われます。

淡い薄黄色をしているヒカゲツツジは、杉に着生しているのをよく見かけます。大王杉や夫婦杉、縄文杉の上でも咲いていて、期間限定の髪飾りを付けているようです。やや日陰に生えるので「ヒカゲツツジ」という名が付いたそうですが、必ずしも日陰だけとは限りません。花色がクリーム色で少し地味なので、そう呼ばれるのかもしれません。

山道を歩いていると、慣れない方はどうしても下を向いて足下ばかりを見てしまいがちになりますが、ぜひ顔を上げてきれいな色合いを見て頂きたいと思います。今の季節ならではの森の楽しみ方のひとつです。

'06/5/6update


屋久島自然情報-オオバライチゴ  
甘く熟したオオバライチゴ。

 

いちご採り

1週間程前、道を歩いていると5センチ程の白い花がたくさん咲いているのを見かけました。何の花だったかというと、昨年もこの『屋久島自然情報(05/3/17)』でお伝えした「オオバライチゴ」の花でした。

こんなに咲いているのなら実のなる時期が楽しみだと思っていたら、もう先日いくつものイチゴがなっていました。だいたいの大きさは1センチ程ですが、2センチ程の大ききいものもありました。よく熟れている赤紫色のものは、甘くてとても美味しいです。

道を歩いていてイチゴを見かけたら、ぜひ一つ摘んでみてください。まだ所々に花も残っているので、目印になってくれると思います。でも、見つけたら思わずすぐに手を伸ばしてしまいそうですが、枝にはトゲがついているので注意してくださいね。

'06/4/9update


屋久島自然情報-ヤマモモの新芽ヤマモモの新芽
 屋久島自然情報-ヤクシマオナガカエデの新芽 ヤクシマオナガカエデの新芽

 

芽吹きの色

3月に入り、気付くと山の色合いがすっかり春の色合いに変わってきています。濃い緑色の木々の合間に、新芽の色鮮やかな緑色や、ヤマザクラの桃色などがぽつぽつと見える様子は、いつ見ても心躍るかんじがします。

山の中を歩いていても新芽を近くで目にするのですが、そうすると緑色だけではなく、淡い緑色、黄色、オレンジ、赤、紫など、様々な色の新芽があることに気付きます。葉の色は、葉に含まれる色素や、葉の表面に存在するワックスによるものといわれています。成長した葉っぱには、クロロフィル(緑色の色素)が多く蓄積されているので、カロチノイド(黄色やオレンジ色の色素)やアントシアニン(赤や紫色の色素)の色は目立ちません。でも、新芽にはクロロフィルが少ないので、カロチノイドやアントシアニンが目立って、赤色や紫色に見える葉っぱがあるのです。

また、色素は様々な障害から身を守る防御作用があります。例えば、アントシアニンは有害な紫外線を吸収する為、紫外線による損傷を受けやすい葉の内部にまで紫外線が到達するのを防いでいると推定されています。新芽に様々な色があるのは、まだ葉緑体が十分に発達していない新芽を、そういった障害から守る役割をしているのですね。

生まれたての赤ちゃんを、すぐそばで見守りながら支えているのは、人間や動物たちだけでなく、植物も同じようです。

'06/3/18update


  屋久島自然情報-タンカン
渡り鳥の被害もなくたわわに実った タンカン。

 

今年の冬は、渡り鳥が極端に少ない?!

1月。屋久島では本来なら、寒い地方からシロハラ、ヒヨドリ、ジョウビタキなどの渡り鳥がたくさんやってくる季節です。毎年、うるさいくらいヒヨドリが鳴き、ミカン農家を困らせたりするのですが、しかし、今年はいつになく鳥の鳴き声が聞こえません。一体何があったのでしょう。

シロハラの繁殖地はウスリーやアムール川流域などで、冬になると東南アジアやスマトラ島などまで南下して越冬します。屋久島にも、このシロハラは冬鳥として今の時期に訪れます。また、ジョウビタキなどの繁殖地も、シベリア辺りです。鳥たちの繁殖地である大陸で、何かが起こっているのでしょうか?

長期の気候変動や環境汚染などで何が起きているのかを調べないと、原因は絞れないとは思いますが、ここで、2つの原因を考えてみました。原因の一つとして、去年の11月中旬に発生した、中国東北部の石油化学工場の大規模爆発事故の際のアムール川の汚染に何か関連があるのかもしれません。
また、もう一つの原因として、日本では年末年始の記録的な寒波により、寒い日々が続きました。もしかすると鳥たちは、屋久島を越して、食物条件などがよい他の地域へもっと南下して行ったのかもしれません。

どちらにせよ、渡り鳥たちは少しの環境の変化にも影響を受けてしまうということです。温暖化や、環境汚染などは、人間がもたらしたもの。私たちの普段の生活が、野生生物に多大な影響を与えているという事をもっと真剣になって考えるべき時です。

'06/1/17update




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