屋久島自然情報_6月

屋久島は、とても自然のバリエーションの豊かなところです。
その自然の表情を折に触れてお伝えいたします。


ここ数年の月別屋久島自然情報がわかります。
屋久島へお越しの方は、来島月をクリックしてご参考になさってください。

shift.jpg shift.jpg shift.jpg shift.jpg


6月の自然情報

キョウチクトウ

キョウチクトウ(夾竹桃)

夏の青い空には、キョウチクトウの赤い桃色の花が良く似合います。


キョウチクトウは葉が竹のように細く(狭い)、花が桃の花に似ているところから和名がきてます。漢字で書くと夾竹桃(キョウチクトウ)というのが納得できます。


元々、キョウチクトウはインド原産で江戸時代の中頃に日本に入ってきたと言われています。屋久島では道沿いでよく見かけます。花期は意外と長く5月から9月まで綺麗な花を咲かせています。


こんな綺麗な花を咲かせるキョウチクトウですが、葉、茎、根、花、種子すべてが有毒だと言われていて、箸や串代わりに利用して中毒を起こした例があります。


広島市では市の花にも指定されていて、かつて原爆で75年間は草木も生えないと言われていましたが、キョウチクトウの花がいち早く咲いたとして復興のシンボルにもなっています。
これからも、人々と希望となって毎年綺麗な花を咲かせてくれることを願っています。



'13/6/20update
ページトップへ

キバナコマノツメ

キバナコマノツメ

本州中部以北の亜高山帯には普通に見られのですが、西日本では石鎚山から九州を飛び越えて屋久島に現れます。(屋久島が南限)


屋久島では約1800mの高山頂上付近に生育していて、スミレの仲間だけあって、直径1.5cmくらいの可愛らしい黄色の花を咲かせます。


名前の由来は葉の形が馬(コマ)のひずめに似ている所から来ています。


なかなか、キバナコマノツメの様な高山植物を見つけるのは、小さくて咲く期間も短いので大変ですが、見つけられた時の喜びはひとしおです。

'12/6/18update
ページトップへ

ムネアカオオアリ1

ムネアカオオアリ2

ムネアカオオアリ

6月の屋久島は梅雨で雨の日々ですが、晴れる日もあります。


晴れた日の縄文杉ルートを歩いていると、大きなアリに良く出会います。ムネアカオオアリです。


ところが6月は普段見るムネアカオオアリよりも一回りおおきなものに時々であいます。


それが結婚旅行中のムネアカオオアリの女王アリまたは雄アリです。


写真のアリはムネアカオオアリの女王アリです。
雄のアリとの区別の仕方ですが、雄は腹部のみに赤みをおびる。女王アリは胸の部分まで赤みがあるそうです。


アリの巣が大きくなり成熟すると、生殖能力をもった羽アリが産まれ外に飛び立ち、その際に女王アリは一生分の精子を雄アリから受け取るそうです。


雄アリはその後死んでしまいます。
下の写真は、まさに女王アリが交尾をすませて、地上に降り立った瞬間です。

'11/6/9update
ページトップへ

エゴノキ

エゴノキ

里では3月下旬頃、山では5~6月頃、星形の白い花が咲いているのを見かけます。最近ではトロッコ道を歩いていると足下に落ちているのがよく目に付きます。【エゴノキ】という名前の木です。本州にも分布していて庭木で植えられる方も多いので聞いたこと、見たことのある方も多いのではないでしょうか。


秋に実がなるのですが、その実には有毒物質であるサポニンが含まれていて食べると「えぐい」味がするので「=えごのき」という名前がついたという由来があります。また、そのサポニンを利用して石けん代わりに洗濯に使ったり、川に流して魚を捕るのに利用したそうです。


ところが、ヤマガラ(鳥)はよくその実をつついて食べています。溶血作用のあるサポニンが含まれているはずなのに、鳥は食べられるのか?なぜ?
・・それには理由がありました。


注意してよく見るとヤマガラが食べているのは実そのものではなく、果肉を除いた種子の部分だけ。じつはサポニンが含まれているのは果肉部分のみなので、種子は食べられるのです。秋になるとエゴノキの殻がたくさん落ちているのはそういう訳でした。


鳥が食べているからといって食べると大変なことに?!どこが食べられるのか、注意して見てみましょうね。

'09/6/11update
ページトップへ

サルトリイバラ

サルトリイバラ

屋久島に来て「かからん団子」というお団子を食べたことのある方、たくさんいらっしゃるかと思います。カカラの葉っぱで包まれたお団子「かからん団子」。このサルトリイバラの葉っぱがそうです。サルトリイバラの別名を『カカラ』と呼びます。


つる性の植物でよく見ると葉っぱの付け根から細長い巻きひげが出ています。その巻きひげで他の植物に巻き付き、つるを伸ばしていきます。
少し前までかわいらしい花を付けていましたがそろそろ終わり、秋には真っ赤な実がなります。


ちなみに西日本の方では柏の葉っぱがあまり取れない為、サルトリイバラの葉でお団子を包み「柏餅」と呼ぶところが多く、屋久島の「かからん団子」を見て柏餅と言われることも多いです。屋久島ではサルトリイバラによく似ているサツマサンキライが低地に多く生えている為、かからん団子にはサツマサンキライの葉っぱも多く使われているようです。


西日本の方には馴染みのある葉っぱでしょうか?でも馴染みのある植物でも意外と花は見たことなかった!という方が多いです。サルトリイバラの花はこんなにかわいいんですよ。


かからん団子についての詳細は・・・
「かからん団子調査」
http://office-manatsu.com/siryou/kakarandango.html

'08/6/13update
ページトップへ

ヤクシマアジサイ

ヤクシマアジサイ(ヤクシマコンテリギ)

梅雨といえば思い浮かべる花、アジサイ。県道沿いに植えられているアジサイの花が少しずつ色づき始めています。


屋久島の野生のアジサイ、ヤクシマアジサイやヤクシマガクウツギも今きれいに咲いています。屋久島の低地から山地で多く見られるヤクシマアジサイ(ヤクシマコンテリギ)は、葉が7~16センチと大きめで先がとがっています。


ヤクシマアジサイより高いところに自生するヤクシマガクウツギは、葉が3~5センチと小さめですが、たくさんトロッコ道で鮮やかに咲いています。


どれもガクアジサイの姿で周りに真っ白な装飾花を付けます。アジサイは紫色や赤紫色の花びらがたくさん付いている、と思われている方も多いかと思います。でも実は花びらと思っているものは花びらではなく、装飾花(そうしょくか)と言って虫を呼び寄せる為に顎(がく)が変形したものです。


それでは本物の花びらはどこかというと、よく顔を近づけて見てみてください。
中心部に5~8ミリ程の小さな小さな花びらが付いています。


今度道を歩いている時野生のアジサイを見かけたらちょっと立ち止まって顔を近づけて見ては如何でしょうか?

'07/6/4update
ページトップへ

ゲットウ

ゲットウ

6月に入ってから道路沿いで見かけるようになった、ゲットウ(月桃)の白い花。九州南部に分布するショウガの仲間です。秋になると赤い実を付けるのですが、部屋にちょっと飾るのに良いアイテムです。私は一昨年に採ったゲットウの実をずっと飾っています。


ところで、このゲットウの葉っぱ、抗菌作用があることから沖縄ではこれで餅菓子を包み、それを「ムーチー」と呼びます。旧暦の12月8日には、各家庭でムーチーを作り仏壇に供えたり、軒下に吊して1年の厄払いのまじないとするなど、沖縄の人々にとっては馴染み深いものとなっているようです。


屋久島では、このゲットウの仲間のアオノクマタケラン(ショウガ科)を使って、おにぎりを包んだり、お団子を包んだりします。葉っぱ自体がとても良い香りがするので、お弁当の美味しさも倍増します。


地域によって様々な呼び名があるそうですが、沖縄では「サンニン」、奄美大島では「サネン」などと呼んでいるそうです。その他の地域ではどんな呼び名があるのか?どんな利用法があるのか?身の回りの植物との関わり方を見つめてみるのも面白いです。


屋久島に来たら、ぜひ『葉っぱ弁当』を食べてみてください。 

'06/6/26update
ページトップへ

サツキ

サツキ

縄文杉ルートの前半、トロッコ道の安房川沿いでは、今、サツキが咲き乱れています。


サツキは他のツツジ類とともに、古くから園芸的に利用されており、多くの園芸品種が知られています。(その栽培の歴史は鎌倉時代以前までさかのぼるともいわれています。)
1600年代中頃、ツツジの栽培が大ブームとなり、その頃すでにサツキの品種は160種ほどが知られていたそうです。
そんなサツキの「原種」が生育している所はそんなに多くなく、関東地方西部以西の数箇所に分布するのみです。その分布の最南端が屋久島になるのです。
サツキは、陽光がよく当り、且つあまり乾燥しない適湿な所を好むため、ほとんどが渓流沿いに生育しています。とはいえ、この安房川の増水した所を一度でも見るとその立地の険しさは一目瞭然です。
サツキをはじめとする渓流沿いに生きる植物たちは、時に濁流に飲み込まれても流されないように固着能力が高く、水圧を受けにくくするため葉が細い流線型をしているものが多いなどの特徴があるのです。


ところで、サツキというと五月の花かと思いがちなのですが、五月といっても陰暦の五月(皐月)になるので、他のツツジ類と比べると少し花期が遅くなり、ちょうど今が花の時期となります。
屋久島の山岳でよく見られるツツジの仲間はヒカゲツツジ、サクラツツジ、ヤクシマミツバツツジ、ヤクシマシャクナゲ等ありますが、これらを見逃してしまった方、大丈夫です。今年のサツキはシャクナゲに負けず劣らず見事です!!  

'05/06/23update
ページトップへ

ヒメヒオウギズイセン

ヒメヒオウギズイセン

屋久島の道路脇では季節ごとに色々な草花をみることができます。その一つに6・7月に鮮やかできれいな花をつけるヒメヒオウギズイセンがあります。


明治中期に渡来したといわれる園芸植物ですが、今では野生化し、屋久島の道路脇を朱赤の花で彩っています。高さ50cm~80cmの多年草で地下茎をのばし、その先に球茎をつくり群生します。


屋久島では、果実が握りしめたこぶしの形に見えるところからゲンコツバナとか、トビウオが捕れる時期に花が咲くのでトビウオバナとか呼ばれています。梅雨のうっとうしさを吹き飛ばしてくれそうなゲンコツバナが大好きです。

'03/6/01update
ページトップへ

サツキの花

沢沿いにサツキの花が

台風4号の到来と同時に、屋久島もようやく梅雨に入りました。今年の梅雨入りは、過去30年で最も遅いらしく、平年より2週間も遅い梅雨入りとなりました。


そんな梅雨空の中、高地の沢沿いにサツキの花がひときわ目立ちます。
屋久島の野生種のサツキは、このような沢沿いに群落を作っています。その為、増水すると水をかぶってしまうので、葉が細く流線型になり渓流沿いの植物と呼ばれています。


園芸種のサツキのふるさとは、このような沢沿いだったのですね。

'02/6/13update
ページトップへ

タマゴタケ

タマゴタケ

今年の梅雨は、毎日毎日雨が降り続くような事はなく、降っては晴れる陽性の梅雨です。


標高400?の照葉樹林の森では、そのような天候に刺激されてか、この所いろいろなキノコを目にするようになりました。


屋久島はあまりキノコがたくさん出る場所ではないのですが、今から夏にかけていろいろな種類のキノコを見かけます。


この写真のキノコはタマゴダケとよばれる食用キノコらしいのですが、あまりキノコを食べる習慣のない屋久島では、誰も食べようとはしません。 
おいしそうですね。

'01/6/27 update
ページトップへ