屋久島自然情報_9月

屋久島は、とても自然のバリエーションの豊かなところです。
その自然の表情を折に触れてお伝えいたします。


ここ数年の月別屋久島自然情報がわかります。
屋久島へお越しの方は、来島月をクリックしてご参考になさってください。

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9月の自然情報

クチベニタケ

クチベニタケ

屋久島は9月に入り、段々と涼しくなっています。


ところで毎年屋久島が秋になったと感じる瞬間がいくつかあって、そのひとつが登山道でクチベニタケを目にしたときです。


クチベニタケ(口紅茸)は、たこ焼きの上に紅生姜をのせたような
雰囲気で、直径約1cmのキノコです。
白谷雲水峡、縄文杉の登山道を歩いていて、少し削れた傾斜地に
注目すると簡単に発見することができます。


クチベニタケの赤い部分には小さい穴があって、水滴がキノコにあたった衝撃により、穴から胞子が飛び出す仕組みになっています。


軽く指で触ると白い粉が舞い散っておもしろいです。
秋の屋久島でぜひ探してみてください。

'12/9/9update
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ヤクシマツチトリモチ

ヤクシマツチトリモチ

秋の白谷雲水峡や縄文杉のルートを歩いていると道脇に赤いキノコのようなものが目にはいってきます。でもよく見ると表面にちいさいブツブツがあり、触ると固くキノコとも違うような感触です。
屋久島の秋の訪れを告げる植物ヤクシマツチトリモチです。


ツチトリモチは葉緑素をもたない寄生植物です。屋久島の山によく生えているハイノキの仲間に寄生しています。
ツチトリモチは一風変わった寄生のしかたをしています。普通の寄生植物は木に体の一部をねじ込んで栄養を奪い取りますが、ツチトリモチは自らの体に木の根をひきこんで、栄養分を吸収します。


さらに変わっているのが、雌雄異株(雌花と雄花が別々の株に咲く)なのですが、いまだに雄株が発見されていない点です。
どういう方法で増えるかというと、単為生殖で増えます。クローンを創り続けるんです。


変わったツチトリモチですが、秋の屋久島を彩る大事な植物です。足下に注目してみてください。

'10/9/29update
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アマクサギ

アマクサギ

もうすぐ10月になり、秋もどんどん深まってきます。花の少ない季節ですが、ところどころで見かける白い花。アマクサギの花です。葉っぱをちぎると、臭気があるのでこんな名前が付いています。かわいい花からはあまり連想できませんが、独特な臭い香りがします。少し癖になりそうな漢方ぽい臭いなのですが、島の人は、若葉をみそ汁の具に使ったりもします。


アマクサギよりも強い香りのする「クサギ」は、日本全国に分布していますが、この屋久島に生えているアマクサギは九州南部以南で見られます。


花は7月頃から咲き始めるので、もうそろそろ終わる時期ですが、花と入れ替わりに藍色の実が見られるようになりました。実の周りには目立つ紅色の萼が付いています。この藍色の実、染め物にするととてもきれいな瑠璃色に染まるそうです。


秋も深まると、次第に果実が見られるようになります。その果実は食べられるか?誰が食べるのか?何に使えるか?・・そんなことを考えながら見るのも、森を歩く楽しみのひとつになりますよ。

'06/9/24update
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タマゴタケタマゴタケ

シロオニタケシロオニタケ

キノコ

まだまだ暑い夏が続くと思っていたのですが、気付くと陽が落ちるのが早くなっていて、風も和らいできたような気がします。


「食欲の秋」とも言われるこの季節、きのこ狩りに出かける人も増えてくるのではないでしょうか?最近、屋久島でも、森を歩いていると、よくキノコを見かけるようになりました。


量は多くないのですが、十数センチのものから数ミリのもの、真っ白のものから黒いものまで、種類は豊富です。
台風の影響で、刺激されて出てきたのでしょうか?木々の枝葉は落とされているものの、そんな中でもしっかりと立っています。


皆さんも、地面上の小さな世界に少し目を向けてみて下さい。かわいいきのこ達に出会えるかもしれませんよ。

'04/09/07update
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サナギタケサナギタケ

サナギタケ

このところ、やけにキノコが気になって仕方がありません。秋なのでしょうか?!
いつも仕事の最中にキノコ目線(地面の小さな世界を意識する目線)になっている自分を意識します。やばいなあ!一度キノコ目線になるとなかなかその世界から抜け出すのが大変で困ってしまいます。できることなら地面をはいずり回ってガイドしたい気分です。
なので、最近はよく変わった生き物を見つけるようになりました。


そんな中に写真のような 冬虫夏草があります。キノコの仲間なのですが、このキノコは、虫が生きているときにとりつき、死体から生えるという変わった生き方をします。写真のサナギタケは、蛾のさなぎに寄生して、地面から1センチほどのキノコを出していました。
この他にカメムシやアリ、クモ、甲虫の幼虫などに寄生した冬虫夏草をみつけました。


分解者としてのキノコ目線で森を観るとまた別な屋久島が見えてきますよ。

'03/9/23update
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スギヒラタケスギヒラタケ

スギヒラタケ

夏休みも終わり、標高1000メートルあたりのヤクスギの森ではずいぶんと涼しくなりました。
そんな森の中のヤクスギの枯木の上に写真のようなスギヒラタケを見かけるようになりました。


以前から食用として利用されるキノコだとは知っていましたが、この間キャンプの朝食の時、洋風雑炊に入れたら口あたりが良くとびっきり美味しくなりました。
屋久島ではあまりキノコを食用にする習慣はないのですが、このキノコのように食べるととても美味しい物もたくさんあります。
残念なことにあまり量が出ないので 、たくさん食べることはできませんが、すこし秋の森のめぐみを感じました。

'02/9/05update
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